芦屋の文化と歴史を文学の視点で綴る・谷崎潤一郎記念館へようこそ
 
芦屋市谷崎潤一郎記念館開館30年 2017年 春の特別展「潤一郎時代絵巻」〜戦国の焔(ほむら)王朝の夢〜
会期 2018年3月17日(土)〜 6月17日(日)
 あの谷崎が「時代小説」を書いていたのか―。意外に感じる方も多いことでしょう。 しかしじつは、このジャンルこそ、小説家谷崎にとっての真骨頂といえるのではないでしょうか。

 デビュー作「刺青」からして、江戸時代を舞台とした物語でした。自然主義リアリズム全盛の文壇に抗して現れた、 <物語り>の作家としてのその想像力の翼は、耽美派の作家として追い求めたその理想の美は、現実の鎖を断ち切った 過ぎ去った世界のなかでこそ、十二分に解き放たれたのです。

 その創作の手ごたえは、関西移住後の伝統美への回帰をもきっかけに、自覚されたものとなったに違いありません。

 大衆文学の勃興を前にした谷崎の挑戦でもあった「乱菊物語」は、波乱万丈、手に汗握る戦国冒険活劇エンターテイメント、 フィクション性豊かな「空想時代小説」です。かたや、これぞ谷崎、という倒錯性にあふれる「武州公秘話」。さらに、 お市の方の肉体に理想の女性美を花開かせた「盲目物語」、「源氏物語」の口語訳は失われた王朝の美の極みを現代によみがえらせ、 美しかった母への憧憬は、谷崎一流の<母恋い>物語「少将滋幹の母」に投影されていきます。

 時代小説の中には、文豪谷崎のすべてのエッセンスが詰め込まれているのです。

 日本画の大家北野恒富による躍動感溢れる「乱菊物語」挿絵原画、谷崎を王朝の美の世界に誘った俵屋宗達の倭絵の傑作「源氏物語」屏風切、 松子夫人のために谷崎がみずからデザインした十二単風の着物、「少将滋幹の母」自筆原稿等々、多種多様な展示品は、 文豪が夢見た時代絵巻の世界を、目にも鮮やかに繰り広げてくれることでしょう。

■特別展開催時の記念館入場料は一般400円、65歳以上200円、高校・大学生300円、中学生以下無料となります。

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© Tanizaki Junichiro Memorial Museum of Literature,Ashiya.