谷崎潤一郎記念館「俳句講座」  

平成二十年四月二十六日(土・晴れ)

                            兼題  残花

        席題  行春

 

 

黒川悦子選

枝々に息吹く蕊ある残花かな        相坂よしの

行春や訪ねし人の里に居ず

散るもあり残る花あり坂の道        入谷千恵子

芝桜紅鮮やかに地震のあと

一点に賑はひ集む残花かな         河野ひろみ

それぞれの残花の色の深さなり

谷間の緑に埋もれ残花在りふ        桜田育子

行春や緑に座りて雨を見る

行春や母の退院また延びし         佐藤千枝子

行春や病窓からの遠き島

吉野三山残春となりて人余す        下井定子

行春の街さまざまの憂ひ持つ

行春や教室話題盛り沢山          高杉靖子

曲り角濃く散り敷ける残花かな

残花なほ摩耶六甲の青穹に         玉手のり子

行春の庭下駄で行く小買物

残花散る河馬の耳にもしつぽにも      土井純子

残花散る鶏くくくつと首伸ばす

残花とはいへど見応へある古木       深尾真理子

残花には残花の好さのありにけり

歩を返し残る桜を又仰ぐ          南 妙子

ゆく春や小首かしげし女身仏

 

 

         選者吟

            残花なほ織り成す吉野山なりし

            ゆく春の庭に佇む小半時